積立金は、解約できます。
こんにちは。
新潟のラ・プリエールです。
実は、私たちにご相談をいただく方の中には、葬儀社様への「積立金」というものをお持ちでいらっしゃることがあります。
私の祖母も生前から積立を行っておりまして、葬儀の費用はその積立金を使用して行いました。
「積立をしているから万が一の時も安心だ」
「子供や親戚に迷惑を掛けずに葬儀が行える」
私の祖母も、また、今現在積立をしておられる方も、皆さまそう思っておられると思います。
私の祖母の葬儀の際は、積立金が約50万円ありました。
祖母は、「自分のお葬式はこれで大丈夫」と、安心して亡くなっていったと思います。
祖母の担当だった営業さんにも、「お葬式はこれで安心ですよ」と言われていたと思います。
しかし、葬儀を終えた後の請求額は、120万円でした。
請求額が積立金額より70万円も増えて、
「話が違うじゃないか!」
と感じたとしても、喪主である叔父をはじめ、遺族である私たちがその内容に納得していたら問題はないかもしれません。
しかし、叔父から聞いた言葉は
「もし次に同じ機会があっても、あそこには二度と頼まない」
というものでした。
この私の叔父の感想をお聞きになって、皆様はどう思われましたか?
おそらく1度でもお葬式に携わった経験のある方であれば、「?」となられるよりも、
共感される方の方が多いのではないでしょうか。
多くの方が勘違いしてしまっているのですが、この積立金システムというものは、実は「葬祭サービスの事前購入」なのです。
実際に、会員から積立金を集めて事業を営んでいる企業は、「前払式特定取引業」
と位置づけられています。
「みんなで少しづつ積立をして、困ったときにお互いに助け合いましょう」
という互助の精神をうたってはいますが、実際に会員の方たちがさせられているのは、「前払いでの葬祭サービスの購入」なのです。
「前払いの購入」ですから、月々保険料を支払って保証を得る「保険」や「共済」とは根本的に異なります。
保険料を毎月支払って「補償」を得るのか、
金融機関に毎月お金を「積み立てる」のか、
内容の良く分からない商品を事前購入して「前払い」をするのか。
ここまでお伝えすれば、どれを選択すればよいのかがご理解いただけるかと思います。
全国的にもこの「積立金」制度は非常に根強く普及しておりまして、
ご葬儀を考えておられる半数以上の方がどこかしらの大手企業様に積立てをしておられると思います。
冒頭にもお伝えしましたが、私たちラ・プリエールにお越しいただくお客様でも、そういった方々が多くいらっしゃいます。
一点お伝えさせていただきたいのは、
「積立てをしてしまったから必ずその葬儀社でご葬儀を行わなくてはいけない」
ということはないということです。
会員積立ては、正確には商品サービスの事前購入ですから、購入をキャンセルできます。
しかし、解約の際に発生する手数料の設定基準が不明瞭であることから、法外な手数料を差し引かれた方も多くおられます。
こうした問題は、解約を防ぎたい葬儀社とご契約者様の間で近年度々トラブルとなっています。
しかし、2016年に最高裁での決定がなされております。
(引用ここから)
平成28年11月1日
当協会の会員である㈱日本セレモニーにかかる福岡高裁判決(平成27年11月5日)について、原告(特定非営利活動法人消費者支援機構福岡)が上告受理申立をしていたところ、平成28年10月18日、最高裁は受理しないとの決定をしました。これにより福岡高裁判決が確定することとなりました。
(参考:福岡高裁判決の主要ポイント)
①解約金条項については、訪問販売に当たるものについては特商法10条1項4号が、それ以外については消契法9条1号が適用される。
②「平均的な損害」については、会員の募集に関する人件費、会員の管理に関する人件費、会報誌関連費用、保全費用等が含まれる(概ね日本セレモニーの主張どおり)。
(説明)
①互助会契約の解約手数料についての裁判は、平成20年に京都の特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワークが、解約金条項使用差止請求を申し立てて以降、全国で約10の訴訟が提起され、判決が出されてきました。それらのうち大阪、名古屋、福岡の各高等裁判所の判決について上告受理申立がなされてきましたが、いずれも不受理決定がされました。
②これらにより、「平均的な損害」の認定に関し、会員(消費者)の主張に近い大阪高裁判決、互助会の主張に近い今回の福岡高裁判決、中間的な名古屋高裁判決が、判例として確定し併存する形になりました。
③こうした中にあって、経済産業省は、解約手数料のあり方についての研究会を立ち上げて検討を行い、平成25年12月に「冠婚葬祭互助会の解約手数料のあり方等に係る研究会報告書」を公表しております。
(引用ここまで)
積立会員制度が全国的にどれだけ問題を抱えているかがご理解いただけるかと思います。
こちらの判決が下りてから、これまで高額だった解約手数料を引き下げる企業が増えています。
(一度判例が下りているため、訴訟されたら敗訴することが濃厚なため)
中には、20%も設定されていた解約手数料が2%にまで下がった例もあるそうです。
そして、冒頭の私の祖母の例でお伝えさせていただきましたが、
積立会員制度をうたっている葬儀社は、そのほとんどが積み立てた金額で葬儀費用は賄えません。
必ず不明瞭な内訳になっていて、追加で請求が発生するシステムになっています。
例えば100万円の積立がある人を例に考えてみます。
そのまま積立を使用してご葬儀を行うと、追加の費用が発生して請求時には120~150万円くらいにはなると思います。
次に、積立を解約して15%の解約手数料を支払ったと考えましょう。
15万円が解約手数料ですから、払い戻し金額は85万円です。
私たちラ・プリエールを含め、最近の葬儀社であれば85万円もあれば十分にご葬儀を執り行うことができます。
15万円支払っても持ち出しをゼロにするか、追加で何十万円も支払うか。
解約の際、解約手数料はたしかに発生いたします。
しかし、その解約手数料を差し引いてもご葬儀の品質や内容が変わらずに金額が下がったとしたら、皆様はどう思われますか?
「お葬式のことは分からない」
「大切な人を見送る時だから、揉め事は避けたい」
そういった皆様の純粋な思いや善意の上に成り立ってきたのが「積立金制度」だと思うのです。
もちろん、積立制度を全否定するわけではございませんが、このようなことは葬儀業界以外では当たり前に認識されていることです。
私は、これからの時代は、葬儀業界も明瞭な内訳と金額を開示してお客様に接していくべきだと考えております。
ラ・プリエールでは、積立ての解約のご相談も承っております。
司法の専門家もおりますので、どんな小さな疑問や不安でもお問い合わせください。
ラ・プリエールは、皆さまの大切なエンディングシーンのお役に立てることこそが最大の喜びです。
